こんちは、サウンド担当の伊佐です。
「サウンドリスト」がきたし、絵コンテ等の資料もバッチリ揃った!
というところでいよいよSEを作成していきましょう。
私がBGMやSEを作成するときには基本的に全て、PCで完結するシステムを構成しています。具体的には、DAWである Steinberg CubasePro9 と Propellerhead Reason9、波形編集ソフトとして MAGIX SoundFrogePro11 を主に使用しています。
例えば、ライブラリから使えそうな音声をピックアップしてきても、そのままでは尺が長すぎたり、1部分だけ使いたい場合などは、ちょうど良い長さに編集したり、低域や高域がイメージに合わない場合はEQやエフェクトで調節したり、場合によってはそれを補完するような別の音を合成したりします。
前回提示した「サウンドリスト」のNo.23「魔法系キャラの必殺技を溜める音」を例にして、具体的にどのように作っているか紹介します。
上記の発注にはイメージとして「雷ゴロゴロ強風」という指定があるので「雷ゴロゴロ」と「強風」の2つの音を合成して作ってみたいと思います。
私がよくやるのが、CubasePro9 と Reason9 を ReWire で接続して連携させ Cubase をホストとして Reason をスレーブの音源として扱うようにセッティングして作成開始します。
まず、Reason で Combinator というユーティリティをマウントします。
これは複数のシンセやサンプラーを1つの楽器のように扱えるのでアイデア次第では非常に複雑で面白い音が作れるのが特徴の機能です。
さらに Combinator の中にミキサーとサンプラー2台をマウントします。
1台目のサンプラーには「雷が鳴る前のゴロゴロした音」をセットします。
このとき SoundFroge11 で、あらかじめループできるように波形編集しておき、サンプラーの再生方式をインフィニットループにすることで、鍵盤を押している間はずっと「雷がゴロゴロ」し続ける・・・という音色の完成です。
2代目のサンプラーには「嵐の強風の音」を、1台目と同様にインフィニットループできるようにセットしておきます。
あとはミキサーでそれぞれの音量やEQ、パンを調整し、エフェクト等で音質の調整を行えば音色の完成です。
最後に Cubase 側で Reason の Combinator を MIDI で制御できるようにセッティングすることで、鍵盤を押すと「雷が鳴る前のゴロゴロした音」と「嵐の強風の音」が合成されて鳴るという仕組みが完成します。
この仕組みができたら、絵コンテやムービー資料を見つつMIDI鍵盤でリアルタイムに弾いて最終のイメージに近づけていくのです。
このような手順を繰り返してオーダー分のSEをこさえていくのでございます。
ということで、前回の発注編で公開した「サウンドリスト」に従ってSE01~24まで作成したものをサウンドテスト風に再生するデモ音源を公開しますのでご拝聴くださいませ。
今回はここまで。
次回はBGM作成のおはなしです。