ど~も~、サウンド担当の伊佐です。
「発注編」、「SE作成編」に続いて
「BGM作成編」です。
さて、BGM、日本語に訳すとすれば「背景音楽」ですかね。
映画で言えば、アクションシーンや緊迫するシーンなど様々なシークエンスに、それを盛り上げるために挿入される音楽のことを指すかと思いますが、ゲームの場合も基本的にはシーンに合ったBGMを鳴らすという点において同義であると考えられます。
ゲームと映画で決定的に違うのは、そのシーンの尺が決まっているか、決まっていないかではないかと思います。
ゲームはユーザーの意思でそのシーンにどのぐらいの時間滞在するかが変化するものなので、そもそも尺の決まったBGMを作ることは構造上できないことになります。
ゲームの構造上BGMを再生する尺が決まらないわけですから、そのシーンが無音にならないためにBGMを繰り返し再生することになります。つなぎ目が分からないようにシームレスにループできるように作曲段階から考慮して作られているという特徴もありますね。(経験上、CDのリピート再生のように繰り返し時に少しでも間が開くとその瞬間に白けるという理由もあるかと思います)
ゲームと映画で決定的に違うことをもう1つあげるなら、映画はシーンが直列に繋がっており、しかも自動的に進むという形式なのですが、ゲームでは並列に並んだシーンをユーザーの自由意思によって選択していくものであるということです。(ドラ〇エでフィールドからなんチャラの城に行こうが××のほこらに行こうがユーザーの自由ってヤツです)
と、このようにゲームのBGMは一般に言うBGMとは違う性格を持っているわけですが、私が常に意識しているのが以下の考え方です。
1.シーンの滞在時間をおおよそ決める。
例えば、タイトル画面30秒、ストーリー演出1分30秒、バトルシーン2分30秒などユーザーがどの程度そのシーンに滞在するか見当をつけてそれに見合った尺でしかもループできるように作曲をする。
これは純粋に労力を軽減する効果があります。
2.シーンの遷移先を洗い出して雰囲気カブりを避ける。
例えば、タイトル画面→セーブデータ選択画面→セーブ位置、みたいな場合を洗い出しておいて、それぞれの曲調がカブらないように作曲します。
似た曲調でもOKな場合は2曲作る必要がないと思うので事前に洗い出しておくことが1工程減らすことにつながります。
3.それぞれのシーンのテンポとリズムを決める。
BGMはそのシーンでユーザーにこういう気持ちになってほしいという「記号」でもあるので、落ち着いている雰囲気を出したければテンポを落としてJAZZっぽいリズムにするとか、激しいバトルの雰囲気を出したければテンポを上げてROCKなリズムで攻めるなど・・・
これは雰囲気カブりを回避するうえでも有効です。
今回はカードバトルゲームのバトルシーンのBGMを作成してみたのでご拝聴くださいませ。
ストーリー演出画面→デッキ構築画面→バトルシーン、という流れで遷移してきた想定で、BPMは早すぎず遅すぎずの140に設定、4分打ちのキックで疾走感を出しつつ、ファンタジーっぽい世界観を崩さないためにメロディは美しいストリングスの音色で力強く、後半はあえてリズムを変えて少し膠着した緊張感を出し、最後はイントロのモチーフに回帰していくことでループしても違和感のないような構成になっています。
2分ぐらいでループしているのですがどこかわかりますか?
ということで、なんだかBGM制作のお話というよりもゲームBGM作成時のマインドセットのお話になりましたが、今回はここまで。
次回はBGMとSEを同時に鳴らした時のミックスについてのおはなしです。
P.S
ラディアスリー株式会社ではサウンド制作も行っております。
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