はいど~も!ご無沙汰しております!!
ラディアスリーのサウンド担当 伊佐です。
さてさて今回は CRI ADX2LE をちょこっとレビューでもしてみようかと思います。

そもそも ADX2LE って何よ?という方のために簡単に説明すると・・・
ゲームにおけるサウンド再生のための各ハードウェア向け再生エンジンとそのエンジン専用のツール群、つまりミドルウェアということになります。

主だった特徴としては以下になります。

◆CRI ADX2LE

  1. 独自圧縮形式による容量圧縮、低 CPU 負荷。
  2. デザイナー主導で設定できるインタラクティブサウンドへの対応。
  3. エフェクト等による高品位なサウンド演出。
  4. Unity、Unreal 等マルチプラットフォーム対応。

これらの機能が前年度の年商が1千万以下であれば無償で利用、配布までできてしまうとのことで、個人開発しているインディーズ系デベロッパー向けのサービスです。
※1千万を超えるものは通常版の ADX2 に移行する。

私自身はセガ・サターンとかドリームキャストの開発を行っていた時に超初期の ADX を使ったことがあったのですが(当時、セガが CRI の母体である CSK 傘下だったこともあり、セガハードのゲーム開発ではデフォルトで使用できました)その後は使っていなかったので、今回改めて試用してみて「随分と進化したツールになったなぁ・・・」というのが正直な感想です。

特に AtomCraft という専用 GUI ツールで直感的に作業でき、エフェクトやパラメータの反映具合をプレビューしながら作りこんでいけるので、DAW を使用できる程度のユーザーであればすぐにでも仕事ができると思います。

また、ADX2LE は、インタラクティブサウンドにも非常に力を入れている点も特徴かと思います。

例えば、以前は自然な足音を鳴らすためには、微妙にピッチの異なる足音を複数作っておいて、プログラマが一生懸命ランダムに聞こえるように実装していたわけですが、ADX2LE では AISAC というインタラクティブサウンドの機能が仕込まれたキューをコールするだけでプログラマの負担が大幅に軽減されるようにできています。

それだけではなく、微妙なピッチの変化具合を AISAC のパラメータを調整しながらサウンドデザイナーが GUI ツール上でプレビューしながら作っていけるので、クオリティも上がるし、プログラマに渡して、実装して、確認して、また直して、という時間がほぼ無くなるので時間短縮にもつながります。

しかも1つの音素材からパターンを作り出すので単純に容量削減にもなります。

面白いのは AISAC のパラメータをプログラムからアクセスして制御できるので、リスニングポイントから音の発生源の距離をボリュームのパラメータとして制御してあげれば、それだけでそれっぽくなるし、左右のパン情報を入れてあげれば3次元的な表現が可能だし、もっと凝るなら距離や前後にいる時のパターンで EQ の低音域や高音域を調整してあげれば 3Dオーディオ的な表現もできてしまいます。

また、ADX2LE にはカテゴリという考え方があって、カンタンにいうと SE と BGM とボイスでカテゴリを作っておけばボイスが鳴っているときは SE、BGM のカテゴリのボリュームを下げてやることでダッキングさせたりすることができるというものです。

しかもカテゴリにも AISAC を適用できるので、例えばサウンドデザイナーがボリュームの下げ幅を設定しておけば、プログラマがボイスのキューと同時にカテゴリの AISAC のキューをコールするだけで SE と BGMにダッキングがかかるということになります。

以上、マニュアルをパラパラと読みながらちょこっと試した程度ですが非常に高機能で、特に AISAC を駆使すればかなり面白いことができそうな気がしますね。
ということで、今回はここまで!

次回はWwiseの試用レポートでも・・・
じゃ、また!!