サウンド担当の伊佐と申します。
よろしくお願いします。

ゲーム体験において、グラフィクスやゲームシステムとともに非常に重要なファクターとして存在しているサウンド。

その「ゲームサウンド」について、これから何回かに分けてお話していこうかと思います。

では、はじめに「発注編」です。

昨今、スマホのゲームなどでは大手ゲームデベロッパーの作品以外ではサウンドは非常に軽視されている風潮が見られます。

なかには、サウンドがほとんどなくて「スマホをミュートしてたっけ?」と勘違いした作品すらあったぐらいです。

スマホゲームを開発しているような小さなゲームデベロッパーでは、iOSとAndroidをターゲットにしてUnity等のゲームエンジンで作成する場合が多いと思います。

iOSとAndroidの2種類作ればOKと思っていたのが、OSのバージョンや画面解像度、ビルド環境など、結構な数のマルチデバイス対応に追われることになり、グラフィクスや通信周りのプログラムに投資しているうちにリリースのデッドラインが近づいてサウンドにまで手が回らない。

というのが実情だったりするのではないでしょうか?

予算が少ないとか、開発期間が少ないとか、そもそも開発メンバーが少ないとか、いろいろあるのでしょうが・・・

それってすごく悲しいですよね!

ではどうすれば良いのか?

だったら「予算も期間もメンバーも増やせばよくね?」と思うかもしれませんが、それでは話が終わってしまうので、開発規模が小さくてもサウンドまで手が回る制作フローみたいなものを考えてみましょう。

ゲーム開発においてサウンドの発注はほとんどの場合「サウンドリスト」によって行われます。

プランナーもしくはディレクターから発注されることが多いですが、ようはゲーム全体を把握しているスタッフが、ゲームに必要なサウンドをリストアップしてサウンドの発注リストを作成することになります。

例として最近流行りのカードバトルゲームのバトルシーンの「サウンドリスト」を作成してみました。

最低限必要な情報はこのようなものでしょう。

あとはファイルフォーマットの指定で「 44.1khz 16bit の .wavファイルと.oggファイル mono でも stereo でも構いません。」みたいな1文があればOKです。

さぁ、出来上がった「サウンドリスト」をサウンド担当者に渡せば、ステキなサウンドが出来上がってくるまで待っていれば良い・・・というわけではありません。

従来、映画やアニメ等の映像制作の現場では「音入れ」といって編集済みの映像にBGMや効果音、アフレコを行ってようやく作品が出来上がるという、ポストプロセスに属する分野でも最後の工程と考えられています。

アフレコ作業時に絵がないということもあるそうですが、大抵は出来上がった映像に「音入れ」するわけです。

ゲームに置き換えてみるなら、絵も動きも出来上がった状態から音を作ることになりそうですが、お察しの通りゲーム開発の現場でそのような作りができることは奇跡に近いでしょう。

じゃあ、どうするのか?

「サウンドリスト」にプラスして「ゲームフロー図」や「キャラ設定表」「絵コンテ」動きのわかる「ムービー」等、サウンド担当者が作業時にイメージしやすい資料を共有する・・・が正解です。

一見サウンドとは関係ないようにも思えますが、「絵」や「動き」や「演出」に対して音をつける訳ですから、もっとも重要な要素とも言えます。

つまり、ゲーム開発の作業フローを考えるなら、小規模な開発であっても上記のような資料を開発メンバーで共有することが「サウンドまで手が回る」開発の一助になると考えます。

特にサウンドを外注する場合は、期間や予算の関係から、イメージが合わないといって簡単にリテイクを出したりすることが難しいので、実は資料を作るというプリプロセスが大事だったりします。

今回はこの辺で・・・
次回は上記のサウンドリストを元に作成したデモ音源を交えつつ「SE作成」のお話です。